You'll Always Find Me In The Kitchen At Parties

見るのをながめることはできる。それに対して、聞くのを聞くことはできない。

塚本晋也『野火』

  • 塚本映画なのである。製作脚本監督撮影編集主演・おれ!!! キターーー!!!!
  • 塚本晋也がどのような映画作家であるかを説明するには、m@stervision氏のこのフレーズを引用するのが良かろうと思う。曰く、「ファイト・クラブ」に先立つこと4年前に「東京フィスト」を作っていた男。——そう、この監督は、「ファイト・クラブ」に先立つこと4年前に「東京フィスト」を作っていた男である。
  • 話としては「HAZE」とだいたい一緒で、つまり延々と地獄巡りするだけ。ひたすらひどい目に遭う。
  • 四肢が吹き飛ぶ! 血糊の飛距離すごい! 湧き出る蛆虫! 阿鼻叫喚! の塚本バイオレンス、ヒャッハーと楽しみたいところなのだが、これ、何しろ「野火」の映画化なので、かの戦争の悲惨さを胸に刻みつつ反戦のメッセージなど受け取らないとならないような気もして、眉間にしわを寄せて神妙な面持ちで見なければならない塚本映画、という謎な状況に陥る。
  • 説明的な台詞など無いし、「Based on a True Story.」とか「1944年 どこそこ…」みたいな字幕すら出ないので(もしかしたら英語字幕版なら説明的な字幕付くのかな?)、予備知識が無ければ何の話だか分からない。
  • 低予算で戦場を表現してて偉い。機銃掃射が地面を這い寄ってきて人間がグチャグチャになったりするんだけど、航空機はいっさい画面に出さないで乗り切る、とか。
  • かの「BULLET BALLET バレット・バレエ」において「こんなクソ東京、ぜんぶ夢なんだよ、ユ、メ」という名台詞を吐いた、ブランキー・ジェット・シティのドラムの人。今回もたいへんに素晴らしい存在感を発揮している。「ぼやぼやしてると、お前も喰っちまうぞ!」。
  • 「その袋は何だ?」「塩であります」「ちょっとだけわけてくれ。…う、うめぇ」みたいなシーンがあって、ジャングルを敗走してるときになめる塩はむちゃくちゃ旨そうだなと思った。カイジ地下労働編の焼き鳥に匹敵する。